高齢者の移動手段などに期待される、軽自動車と原付きバイクの中間に位置する「超小型車」。すでにフランスでは導入済みで、日本でも国土交通省が普及に向けて旗振り役となっている。しかし、安全性などに問題を抱えているほか、需要が読めないこともあってメーカー各社の対応に濃淡があり、一気に普及する状況にはないようだ。
公道を走るガイドラインも策定
国交省が2012年6月に公表したガイドラインによると超小型車は、軽自動車(排気量660cc以下、全長3.4メートル以下)よりも小さく、燃費などの環境性能が高い1~2人乗りの車両、ということになる。国交省は「低炭素」「環境性能」にこだわりを見せており、駆動源としてはガソリン車よりは電気自動車(EV)を想定しているようだ。
半面、原付き(第1種原動機付き自転車、排気量50cc以下)よりは大きい。原付きは全長2.5メートル以下、全幅1.3メートル以下だが、超小型車はいずれも一回り大きくなる見通しだ。また、原付きが1人乗り限定なのに対し、2人乗りも可能とする点も違う。超 小型車の排気量は125cc程度が検討されている。
国交省は今年春までに、横浜市や愛知県豊田市など大手自動車メーカーのお膝元を中心に、全国で超小型車の導入に向けた実証実験を行った。「高齢者の外出頻度が高まった」などの結果を受けて「来たるべき超高齢社会に対応できるのではないか」(国交省)として、6月に公道を走るためのガイドラインを策定した。
国交省は、申請のあった自治体での公道走行を暫定的に認める認定制度を近く作り、今年度中には特定地域で実現させたい考えだ。