「原発事故でチョウに遺伝的異常」 准教授論文に異論相次ぐ

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北限の東北地方では高い頻度で突然変異

   大阪大学大学院の近藤滋教授は、研究室サイト上のコラムで、「批判の方に分がある」と指摘した。それは、ヤマトシジミの生息域が北上しており、それに伴って北限の東北地方では高い頻度で突然変異が見られるため、放射線の影響を測定するにはヤマトシジミはふさわしくないというものだ。

   近藤教授はまた、論文を書いた大瀧丈二氏が何かを暴くためにわざとこうした論文を書いた「釣り」の試みでは、との疑問まで投げかけた。大瀧氏が実際、通常時でも変異が出ることを報告しており、しかもサンプル数が異常に少ないのも変だからだという。

   パリ第5大学の堀川大樹研究員も、自らのブログ「むしブロ+」で、論文の主張に異論を述べた。ヤマトシジミの異常は、より緯度が高い青森などと比較しないと、寒さのためなのか放射線の影響なのか分からないと言う。沖縄のヤマトシジミへの実験も、プラスチック容器の中に閉じ込めたことの影響が分からず、福島などで採取した葉を幼虫に食べさせたときの放射線量は実験よりかなり低くて比較するのは無理があるとしている。

   ただ、大瀧氏らはこれらの主張にまだ反論などをしておらず、今後の検証が待たれていると言えそうだ。

   大瀧氏が所属する琉球大の総務企画課では、「世界的に反響を呼んでおり、かなり問い合わせが来ています。論文について、大学としての見解は今のところありません」としている。

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