「原発事故でチョウに遺伝的異常」 准教授論文に異論相次ぐ

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   「原発事故の影響で、福島県内などのチョウ1種に遺伝的な異常が見られた」。琉球大学の大瀧丈二准教授(分子生理学)の研究チームが英科学誌サイトでこう発表したことに、科学者から異論が相次いでいる。

   大瀧丈二准教授らの論文は、著名な英科学誌「ネイチャー」の出版社が2011年6月にサイト上で始めた「Scientific Reports」に掲載された。

英BBCも取り上げ、国際的に注目

   2012年8月9日に載った論文によると、原発事故から2か月経った11年5月に、福島県や茨城県、東京都など10地域で、身近に見られるチョウのヤマトシジミについて突然変異による異常を調べた。成虫144匹を採取したところ、7地域の12%で羽が小さかったり、目が陥没していたりする異常が見られた。子の世代では、18%に異常がみられ、孫世代ではそれが34%にも達した。

   こうした異常は、放射線量が高い地域ほど多く、死ぬケースも目立ち、福島県内は特に死ぬ確率が高かった。

   さらに、その4か月後の9月に成虫240匹を採取すると、28%で異常が見られた。放射線に晒され続けた影響とみられ、子の世代では、52%にも達した。これは、5月時点より3倍近くにも率が高まっている。

   事故の影響がない沖縄のヤマトシジミに放射線を当てる実験を行ったところ、同じような異常が確かめられたため、福島などのチョウに生じた異常は、原発事故の影響だと結論づけている。

   大瀧丈二准教授らの発表は、日本の通信社各社が報じ、事故を巡る異例の発表だけに、ネット上で話題になった。さらに、英BBCなど海外主要メディアも相次いで取り上げ、国際的な注目を集めている。

   これに対し、日本の研究者などからは、論文の内容について、次々に異論が唱えられた。

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