「近いうち解散」が先行 重要政策課題「方向さえ示せない」

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概算要求もズレ込む

   政策課題では、来年度予算編成作業の遅れが懸念される。例年なら概算要求基準が7月中に決まり、概算要求の提出は8月末に締め切られるが、今年は基準決定が8月中、提出は9月中旬以降になる。中味も、民主党が7月末に決めた日本再生戦略を目玉に据えたい考えだが、解散時期と絡んで「誰が予算編成するか見通せなくては、目玉もクソもない」(財務省筋)。

   環太平洋経済連携協定(TPP)の交渉参加問題は、首相支持派内に「小沢支持派がいなくなればTPP反対派もいなくなる」と、与党内の合意形成を楽観視する見方もあったが、山田正彦元農相ら反対派が残ったのに加え、選挙が近づく中で、あえて農民票などを敵に回しかねない課題に取り組むエネルギーは「急低下している」(民主党議員)のが実態。9月のアジア太平洋経済協力会議(APEC)首脳会議(ウラジオストック)での参加表明というシナリオはほぼ瓦解し、年内に交渉に加わるのは絶望的だ。

   原発に関しては、夏場の電力不足への緊急避難的対応として関西電力大飯原発3、4号機の再稼働を強行したが、反原発の世論の盛り上がりもあって、将来の原発のあり方と依存比率を柱とするエネルギー政策の見直し作業は見通しが立たない。

   今のところ、秋の臨時国会で、赤字国債法案や衆院定数是正法案プラス・アルファの成立を野党が「人質」にとって、最終的に解散に進むというのが、一番有力な見立てだが、9月下旬には民主、自民とも党首選を控え、野田佳彦首相も谷垣禎一総裁も、党内基盤は不安的。解散時期が両氏の再選にも直結するだけに、政策課題については方向感を示すこともできず、「政争の秋」になる可能性が指摘されている。

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