NTTドコモの携帯電話を海外でも利用できる「国際ローミングサービス」が利用しにくくなり、完全復旧まで1日以上を要した。この3週間だけで、通信障害が集中的に起きている。
年末年始にかけてもトラブルが頻発し、総務省から行政処分を受けた。ネットワークを総点検したはずだが、問題の根源は残ったままだったのか。
「最大手インフラ企業」として投資を向けるべき
国際ローミングサービスを提供する220か国・地域で通話やメールがつながりにくくなったのは、2012年8月13日の18時24分ごろ。すべての地域でサービスが使えるようになったのは15日深夜の2時13分だ。ドコモ広報部に取材すると、通信の集中が原因だというが、詳細は「現在調査中」。復旧までに時間がかかったのは「影響の及んだ範囲が世界中に広がり、再開後にサービスを安定的に供給できるように各地の状況を見ながら作業したため」と説明する。利用者からは15日2時17分までに、1396件の問い合わせが寄せられた。
ローミングサービスは8月2日~3日にかけても、約20時間にわたって利用困難となった。この時は他社の通信設備が故障したため、共通で使用している回線が接続、切断を繰り返す不安定な状態となったのが原因だった。これが国内にも波及。関東甲信越から東海、関西の利用者約145万人が、約1時間半、携帯電話がつながりにくくなる影響を受けたのだ。
さらにその1週間ほど前には、スマートフォン(スマホ)向けサービス「spモード」でトラブルが起きた。7月25日、一部利用者のspモードの設定内容が、約8時間半にわたって閲覧、変更可能な状態におかれたのだ。ドコモの説明によると、全国のspモード利用者を「A面」「B面」という2つのサーバー群に分けて管理しているが、サーバーのソフトウエア更新作業で、B面のサーバーに誤ってA面用のファイルを適用した。このためA面の顧客がspモードのパスワードを入力した際に、同じパスワードを使っていたB面の顧客の情報にアクセスできるようになってしまった。
3週間でこれだけ続いては、対応がお粗末と言われても仕方がないだろう。通信ネットワーク事情に詳しい武蔵野学院大学准教授の木暮祐一氏はJ-CASTニュースの取材に、「ドコモは国内の通信インフラを担う最大手。利益もそれだけ上げているはずです。最近は他社と加入者獲得合戦やスマホ開発競争を繰り広げていますが、今こそ『通信インフラ企業』としてネットワーク整備に投資を向けるべきではないでしょうか」と警鐘を鳴らす。