動画投稿サイト「ニコニコ動画」の「歌ってみた」コーナーに2012年1月に投稿があり、現在は86万回閲覧されている青森県弘前市の尾崎順子さん(60)。昨年11月まで38年間に渡り洋食店のおかみさんだったが、今やテレビのニュースでもその歌声が紹介され、「青森のスーザン・ボイル」として注目されている。本当にスーザンのようなブレイクは訪れるのだろうか。
投稿動画サイトで合計100万回以上閲覧された
TBS系情報番組「ひるおび!」の12年8月14日放送で尾崎さんのちょっとした特集が放送された。昨年11月まではナポリタンで有名な行列のできる喫茶店を弘前城近くで38年間営んでいた名物おかみだったと紹介。今年1月にネットに歌う動画がアップされるとみるみる人気を博し、「ニコニコ動画」「ユーチューブ」などを合計すると100万回以上も閲覧された。
また県内外のイベントやメディアに引っ張りだこの存在になっている、とし、ネットにアップされた動画と、今年4月に幕張メッセで開かれた「ニコニコ動画」のイベントで、6000人の観客を前に歌った映像を流した。番組コメンテーターの大谷昭宏さん、原千晶さん達は、「ノリノリですね」「かわいい!」などと絶賛した。
この日は地元テレビの青森朝日放送のニュース番組「スーパーJチャンネル」でも尾崎さんを取り上げ、
「ネットで話題になっている人物としてVTRで紹介します」
と説明した。
報道によれば尾崎さんは小学生の頃に合唱部だったが、歌は月に1度くらいカラオケに行く程度なのだという。「ニコニコ動画」に投稿したきっかけは、長男で東京在住のミュージシャンのビートまりおさん(31)の影響。ビートさんは東日本大震災の復興を願った活動をし「林檎華憐歌(りんごかれんか)」を作詞作曲したが、それが尾崎さんの大のお気に入りになり「私も歌いたい」と言うようになった。また、ビートさんのコンサートにも飛び入り参加するようにもなった。
CDは12年8月11日に800円で先行発売された
そんな尾崎さんが昨年11月に店を閉じたのは一緒に経営していた夫の安夫さん(68)が交通事故に遭い働けなくなったため。そんな母親を元気付け、人生を応援したいと思ったビートさんが、母親が歌う「林檎華憐歌」をビデオに収め、多くの人に見てもらおうと投稿した、それが「青森のスーザン・ボイル」の始まりだった。
「ニコニコ動画」のコメント欄には6万近く書き込まれていて
「すげー!本当にすげーぞ!」
「弘前が、青森が、東北が、日本が誇れる母様」
「うまい上にこびない声というのが今まで聞いた歌い手の中で最高」
などといった賞賛が並んでいる。尾崎さんが歌った「林檎華憐歌」のCDは800円で、12年8月11日に東京ビックサイトで開催された「コミックマーケット」で配布された。果たして「青森のスーザン・ボイル」のブレイクはあるのだろうか。