大阪維新の会が国会議員集め 政党化してメリット享受が狙い

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   橋下徹大阪市長率いる「大阪維新の会」が、民主や自民などの国会議員5人を取り込む動きをみせて話題になっている。解散・総選挙をにらんだものらしいが、どんな戦略なのか。

   不信任案の提出、消費増税の採決――。橋下徹氏が5人と大阪市内で会談した2012年8月11日は、こんな国会のゴタゴタが一段落したときだった。

政治団体から政党になるには少なくとも5人必要

思惑はうまくいくのか
思惑はうまくいくのか

   報道によると、参加したのは、衆院議員から民主党の松野頼久、石関貴史両氏、自民党の松浪健太氏、参院議員からはみんなの党の小熊慎司、上野宏史両氏。表向きは「道州制の勉強会」だったが、協議した案件は大阪維新の会への合流だったという。

   維新の会には、現職の国会議員はいない。そんな中で、政治団体から政党になるには、政治資金規正法上、少なくとも5人必要だ。今回の会談にも参加したという維新の会幹事長の松井一郎大阪府知事は1日、総選挙について、「政党の形をつくらなければ戦いにならない」と言っており、会談は維新の会の政党化を目指す動きだとされている。

   維新の会が政党になると、様々なメリットを享受できるようだ。

   まず、候補者が小選挙区と比例代表の重複を認められ、復活当選が可能になる。さらに、総務省によると、議員数などに応じた政党交付金が受けられ、寄付にも制限がなくなる。また、金銭面以外でも、橋下氏のポスターを貼れたり、テレビの政見放送ができたりするほか、はがきの枚数を増やしたり、ビラをまいたりすることができるメリットがある。

   民主・自民両党の議員3人の顔ぶれを見ると、いずれも国会で独自の行動を取った人物だ。民主の松野頼久氏は、消費増税法案の採決で造反しており、石関貴史氏は、採決を欠席している。自民の松浪健太氏は、内閣不信任案の採決で党の退席方針に反して賛成票を投じている。

「手段を選ばない感じで何かしっくり来ない」

   この3人は離党して、大阪維新の会に入るのか。松野氏の事務所に取材すると、「本人でないと分からない」としながらも、独自の政治行動をした結果、「選択肢の1つとしてあるかもしれない」と明かした。みんなの党の2人については、小熊氏の事務所では、「その日は確かに大阪に行っていましたが、詳細は把握していません」と秘書が答えた。

   政治アナリストの伊藤惇夫さんも、維新の会の意図について、政治団体のままでは選挙運動が制約されてしまうため、政党化が目的だとみる。

   読売新聞が2012年8月11、12日に行った世論調査では、比例代表の投票先として、自民21%、維新の会16%、民主11%の順になっており、維新の会は、比例復活などで多数の当選者が出る可能性がある。週刊誌では、自民・民主と拮抗する100前後の議席予想が出ており、伊藤さんも、50~80議席は行く可能性があるとしている。

   とはいえ、現職の国会議員を引き抜く手法が有権者にどこまで理解されるのかは未知数だ。伊藤さんは言う。

「維新の会は、既成政党にノーを突きつける形でスタートしたのに、手段を選ばない感じで何かしっくり来ませんね。民主や自民の議員も、維新ブームで受かりたいだけのように思えます」

   候補の多くが選ばれるとみられる維新政治塾の888人が週刊ポストに漏れてしまったが、その多くが国政の素人だ。この点について、伊藤さんは、「素人感覚も必要で、参入は悪くない」としながらも苦言を呈する。

「チルドレンを言われた議員たちが、何か実績を残したのでしょうか。今回も、イエスマンになるだけの危険があると思います。既成政党がだらしないのは確かですが、じっくり政治家を育てることも必要なはずです。選挙後は、日本新党のときなどのように、より一層混迷する可能性はあるでしょうね」
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