「3年以内の売却」ではスピード感がない
ほかにも例えば高知工場(高知県香南市)は朝日新聞が7月初めに「売却」と報じて地元に動揺を与えたが、ルネサスは直後に否定した。実際には内々で少し検討はしたものの、相対的に人件費が安いうえ、地元の反発もあって撤回したようだ。
ただ、「リストラにあたって、そもそも3年間というスパンは長すぎる」(米系調査会社)というのが市場の大方の見方だ。
ルネサスは2010年4月、日立製作所、三菱電機、NECの3社を母体に設立された。当時から過剰設備、過剰人員が指摘されながら、「なかなか手をつけられなかった」(日立関係者)のが実情だ。2012年3月期まで2期連続最終赤字となるに及んで、いよいよ本格リストラへ重い腰を上げたところだ。それが「3年以内の売却を検討」とあってはスピード感がないと言われても仕方ない。
リストラ費用がかさむとはいえ、8月2日に発表した2013年3月期の最終損益は1500億円の赤字の見通しで、自己資本は毀損し続ける。会社更生法適用などによる法的整理で迅速なリストラが必要と指摘されるゆえんである。