登録メンバー全員が県外出身者 夏の甲子園はまるで「大阪大会」

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「夏の甲子園は、都道府県代表が競い合う舞台」

   菅谷氏は、高校側が才能豊かな子どもをスカウトする際、親の意向が大きく影響する点を指摘する。小、中学生の年齢では、自分の責任において自由に進路を決められない。「お子さんなら絶対、甲子園に行けますよ」とスカウトから言葉をかけられて「コロっと参ってしまい、野球留学させる親はいます」と話す。本当にその子の将来のためになるかどうかを見極める責任が、親にはあるはずだと言う。最近では高校側が「地元中学の出身者」を強調するため、入学させる予定の子を、その高校が建つ地域に中学生のうちに転校させ、卒業後に迎え入れる「手の込んだ方法」(菅谷氏)もあるそうだ。

   だが野球から離れれば、例えば千葉県在住で東京都内の私立高校に通うといった例は少なくない。他のスポーツでも「留学」のケースは見つけられるだろう。野球だけをことさら批判するのはおかしい、との意見があるのは事実だ。

   日本高等学校野球連盟(高野連)は2007年11月30日付の文書で、高校野球特待生制度に関する取り扱い内容を公表した。高野連加盟校が「野球の能力が特に優秀である生徒に対して、入学金、授業料その他これに類する負担金を免除する制度」と規定する。これは、選手や部員が学費や生活費といった金品を受け取ることを禁じていた日本学生野球憲章の当時の規則に抵触しないとした。一方で、特待生の人数は各学年5人以下とすることが「望ましい」と定め、2012年度から本格実施が始まった。制度上、特待生として野球留学することは問題ないわけだ。

   それを踏まえたうえで菅谷氏は「夏の甲子園は、都道府県の代表校が競い合う舞台のはず」と強調する。地域色を排して純粋に強豪校が選抜されて優勝を争う大会であれば別だが、夏の高校野球の出場校は「ふるさとチーム」のイメージがついて回る。「県代表と言っておきながら、その県の出身者がひとりもいないというのは、大会の趣旨と離れているのではないか」と疑問を投げかける。

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