日本人に最もなじみのあるたばこのブランドの一つ、「MILD SEVEN(マイルドセブン)」の名称が消えることになった。2013年2月から、新たに「MEVIUS(メビウス)」に刷新する。
マイルドセブンは1977年に発売した。JTの主力ブランドで、現在では国内たばこ販売の約3割を占め、また海外では台湾や韓国、ロシアなど17か国で765億本を販売している。売れ筋商品の名称をなぜ変えたのか。
新名称は「メビウス」全世界に向けて売り出す
「JTブランド 新・グローバル成長戦略」の発表会で、小泉光臣社長は「マイルドセブン」の名称を「メビウス」に変更することについて、「新たなグローバル・ナンバーワン・プレミアム・ブランドとして成長させていくため、積極的に投資し、収益を高めていきたい」と、力を込めた。
JTは現在、グローバル・フラッグシップ・ブランド(GFB)として、世界85か国で1307億本を売る「Winston(ウィンストン)」や91か国、405億本の「CAMEL(キャメル)」を有する。「マイルドセブン」はアジアやロシアを中心に海外展開しているが、「まだ地理的に拡大の余地がある」とし、「メビウス」も全世界に向けて売り出すことによってGFBに育て、引き上げていく方針だ。
「マイルドセブン」といえば、たばこを吸わない人でもその名を一度は聞いたことがあるはず。JTを代表するブランドで、じつに35年間も慣れ親しんだ名称だ。これを捨てることにためらいはなかったのか――。
小泉社長によると、名称の刷新は2年前から、極秘にプロジェクトチームを組んで検討を重ねてきた。
「マイルドセブンの名称変更ではなく、新ブランドを立ち上げるつもりで検討に入り、プレミアム、洗練、先進的といった新たなイメージに加えて、マイルドセブンのDNAともいえるスムースな味と香りを継承しているネーミングを考えた」
ブランド名称は一新するものの、味の方は変えない方針らしい。
160もの候補の中から絞り込み、調査した結果、欧州はもちろん国内でも「メビウス」の名称が評価されたことが決め手となった。
「MEVIUS」は、「MILD SEVEN」のMとSを受け継ぎながら、進化(Evolution)を意味するEとVに、IとU(YOU)でブランドとのつながりを表現したという。