消費増税法案の参院採決をめぐり、衆院の解散を「人質」にした与野党の攻防が続いている。民主党の城島光力国対委員長は2012年8月8日朝、自民党の岸田文雄、公明党の漆原良夫両国対委員長と会談し、消費増例関連法案が「成立した暁には、近い将来、国民に信を問う」との妥協案を示した。
だが、この「近い将来」の意味をめぐって、記者会見では禅問答のようなやり取りが繰り返された末に、結局は白紙撤回。その後、野田首相は解散時期の明示は「どんな事情があってもできない」と明言し、「近い将来」の4文字に永田町が丸1日にわたって振り回されることになった。
辞任時期をめぐる「一定のめど」の幅とは
野田首相の意向を受ける形で提示された「近い将来、国民に信を問う」という妥協案は、自民・民主・公明の3党による党首会談が実現されることが前提だ。当然、この「近い将来」の意味をめぐって紛糾することになった。
自民党の石原伸晃幹事長は、
「『信を問う』という言葉は評価できるが、『近い将来』」ということはいつを指すのか全く分からない。もっと具体的な表現を言っていただかなければ、私どもは到底納得できない」
と述べ、このままでは提案は受け入れられない考えで、自民党独自で内閣不信任決議案と首相問責決議案の提出に含みを残した。
同日午前の藤村官房長官の会見でも、質問はこの点に集中した。ある記者は、
「菅(直人)前総理の『一定のめど』という言葉も、どの程度の幅なのかということで議論を呼んだ」
と、菅前首相が震災対応に「一定のめど」がついた段階での辞意を示唆した後、実際の辞任まで3か月近くかかった点を指摘。藤村長官は、
「今から、そのことを詰めるということ」
とかわしたが、
「一般論として、来年というのは近くないですよねぇ?」
「来年は遠いですよね?」
と追い打ちをかけられると、藤村長官は
「うーん、来年が遠いのか…。少なくとも、我々の任期が来年の8月ですから、だから一番長い範囲で来年の8月…。1年以内ですかねぇ。それが遠いか近いかは、受け止め方に関わるかも知れない」
と、苦笑いするほかなかった。