取引減の中「円高の夏」再来か 「夏休み」を投機筋に狙われる

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   本格的な夏が到来し、急激な円高の再来を懸念する声が出ている。欧州債務危機などを背景に「安全資産」として円が買われているのに加え、機関投資家の多くが夏休みに入って取引が減り、わずかな売買で相場が動きやすくなるからだ。

   2010年、2011年と過去2年の夏はいずれも、円高が加速し、為替介入や追加の金融緩和を迫られた苦い経験がある政府・日銀は、「円高の夏」再来への警戒感を強めている。

市場関係者の脳裏にこびりつく過去2年の夏の記憶

   東京市場は、中国の景気回復の遅れを示す指標などに反応し、8月1日には円買いが進んで一時、1ドル=77円90銭と約2カ月ぶりの円高・ドル安になった。その後は政府・日銀による円売り為替介入への警戒感も広がり、78円台前半に戻ったが、「スペインの財政危機などによる円買いの基調は変わらない」(シンクタンク)との見方が強い。

   市場関係者の脳裏にこびりついているのが過去2年の夏の記憶。いずれも米連邦準備制度理事会 (FRB)が金融緩和を決め、または緩和方向に動くことで米国の金利が低下、日米の金利差が縮小して円買いが進んだ。

   2010年の場合、米国経済の減速などから、当時としては約15年ぶりの83円台をつけ、8月30日に日銀が臨時の金融政策決定会合で追加緩和を決めるはめに陥った。2011年は米国経済の先行き不安に端を発したドル売りで円が上昇。政府・日銀は8月4日、 円売り介入を実施するとともに追加緩和に踏み切ったものの、米格付け会社が5日に米国債を格下げし、米ドルへの信頼が揺らいだこともあり、円相場は同19日に戦後最高値を更新し、1ドル=75円台に突入した。

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