「どじょうカット」に挑戦
座り心地の良い席に着くと、理容師さんが記者のボサボサ頭を手際よくカットしていく。会話も押し付けがましくなく、こちらのペースに合わせてくれるのが好印象だ。
最近の野田首相騒動について尋ねてみると、
「そうですね、以前からご利用いただいているので、なんで今さら――といったところでしょうか。取材はすべてお断りしているんですが、テレビにも出てしまって……」
と困惑した様子だった(申し訳ありません、記者も実は取材でした)。
ちなみに同店が入っているザ・キャピトルホテル東急は、総理官邸から道路を挟んで「はす向かい」にある。首相にとっては一番ご近所のお店だろう。理容師さんも「ですから、もっと早く来ていただいてもいいぐらいだったんですが……」と笑う。
さてカットのあとは、シャンプー、そしてクレンジングだ。照明は暗めになり、椅子もベッド状に変形、頭皮・顔面マッサージの気持ちよさにとろとろと眠くなってくる。カット以上にこちらの時間がたっぷり。シェービングもまぶたや唇、鼻の際にまで行き届き実に心地よい。肌の弱い記者だが、傷や痛みは一切なかった。締めはパックだ。
「いかがでしょうか?」
2時間近い丁寧なサービスを終えて鏡を見ると、髪もさることながら、ジャンクな食生活&夜更かしで荒れた肌が、うるおい、透明感を取り戻していることに驚く。また散髪のあとはどちらかというと「疲れた」という気分になるのが普通なのだが、むしろ元気になった気さえする。
とにかく1つ1つのサービスの質が高く、単なる散髪というより良質の「おもてなし」を受けた感じだ。料金も、ウェブ経由の初回利用としてメンバー価格の1万5250円にしてもらえた。
もちろん安い金額とは言い難いが、大衆店だって貸し切りにすればコストもかかるだろう。1万5250円で首相が英気を養って良い仕事をしてくれるというなら、決して無駄遣いではないと思う。各紙の首相の動きを見ると、散髪は7月8日が最後のようなので、そろそろ出かけて、リフレッシュしながら不透明な政局の打開策を考える時期かもしれない。