「CMの合間に競技やってるみたい」 フジの女子マラソン中継に視聴者イライラ

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莫大な放映権料を回収するため「細切れ販売」?

   日本民間放送連盟の「放送基準」では、18時から23時までの間の連続した3時間半を指す「プライムタイム」の標準的なCM時間量が規定されているが、「スポーツ番組および特別行事番組については各放送局の定めるところによる」となっている。五輪のマラソンはこれに該当し、フジテレビ独自の「基準」でCMを流して差支えないようだ。

   ロンドン五輪はフジテレビ以外の民放各局でも放映されているが、CMはどのような扱いだろうか。例えば8月3日、TBSがバレーボール女子の日本―ロシア戦を中継した。第1セット開始から約20分間はCMなし。日本が16対13とリードを奪ってタイムアウトに入ると初めて1分程度のCMが流れた。それから約14分後、ロシアが逆転で第1セットをものにしてから次のCMといった具合だ。同日、テレビ東京で放映された卓球女子団体1回戦では、日米両チームが入場してから福原愛選手が第1ゲームで勝利するまでの約12分間、やはりCMはなかった。

   上智大学文学部新聞学科の碓井広義教授(メディア論)はJ-CASTニュースの取材に、「フジテレビのマラソン中継でのCMは、明らかに多かったと思います」と話す。その裏には放映権料の問題があるようだ。碓井教授によると、NHKと民放各社による放送機構「ジャパンコンソーシアム」が国際オリンピック委員会(IOC)から、2010年のバンクーバー冬季五輪とロンドン五輪の放映権を「セット」で購入したが、支払った額は約325億円に上るという。高騰の一途をたどる金額は近年問題視されているが、テレビ局としては「買わないわけにはいきません」(碓井教授)。

   巨額の費用を回収するため、テレビ局はスポンサーにCMを売ることになる。だが不況が続く国内で、気前よく大金を出せる企業は多くない。そこで、できるだけ多くのスポンサーを探して「細切れ販売」したのではないかと碓井教授は考える。スポンサーが増えれば、番組中に流れるCM数もそれに比例する。

   マラソンはスタートからゴールまで切れ目がなく、競技中にタイミングを見計らってCMを入れざるをえない。クライマックスをノンストップで見せようと、前半に集中的に流したのかもしれないが、今大会不振だった日本人選手が何とか健闘していたのが、その前半だったことも「災い」した。とは言え「フジはほかにも五輪番組はあるはず。CMを入れにくいマラソンであれだけ流すのは、バランスを欠いていたのではないでしょうか」と碓井教授は疑問を呈する。

   実際に今回のマラソン中継は、フジテレビで放送している別のスポーツ特番よりCMが多かったのだろうか。事情を確かめるためJ-CASTニュースはフジテレビ広報に質問を送付したころ、FAXで回答が寄せられた。

   それによると、「CM量は通常のスポーツ中継と比べ特段多いということはございません」との説明だ。視聴者から問い合わせや苦情は寄せられたかとの問いには、「応援メッセージなど頂戴しましたが、その中に『CMが多い』というご意見もございました」とこたえた。また、レース終盤にCMを入れない配慮をしたかとの質問に対しては「生中継のスポーツ番組では、競技の展開、進行を見ながらタイミングを計りCMを送出しております」とのことだった。

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