総事業費600億円
JA全農は北海道から沖縄まで、全都道府県の農家やJAの畜舎、選果場、物流施設などの屋根から適地を選び、2014年度までの3カ年で400~600カ所にパネルを設置するという。合計の面積は東京ドーム約43個分になる。現行目標の20万キロワットという最大出力は、JA全農が適地と考える屋根に設置した場合の試算で、将来的に屋根以外にもパネルを設置することができれば、最大出力はさらに拡大が可能だ。
気になる総事業費は約600億円。このうち480億円は金融機関から借り入れるが、「480億円は12~15年で返済できる。屋根を借してくれた農家などには売電収益の3~5%を支払う」という。
7月から始まった再生可能エネルギーの固定価格買い取り制度を利用し、JA全農と三菱商事などが専門の事業会社を9月に設立する。JA全農は「太陽光発電の実例が見えてくれば、個人の農家も付いてくる」とみている。
JA全農は「地球の環境保全に積極的に取り組む」ことを経営理念に掲げており、原発事故を教訓に注目される再生可能エネルギーに率先して取り組むことで、本業の農業でも「環境重視」のイメージアップを図る考えもある。JA全農が全国で太陽光発電を軌道に乗せることに成功すれば、追随する企業が現れ、全国に20万キロワット級の太陽光発電が相次ぎ生まれる可能性もある。