風車を海に浮かせる「浮体式」を開発中
海外に比べて政府の電力政策の違いがあることも、風力発電が大きく出遅れている原因だ。
三菱重工業は試験用として1980年に風力発電を開始。風力発電設備の累計受注台数が2000基を突破したのは、それから30年超が過ぎた2011年3月で、現在も英国での洋上風力発電プロジェクトに参画するなど、国内よりも海外事業のほうが活発だ。
三菱重工は、「2400kWの風力発電設備に平均風速で毎秒8メートルの風があれば、2000世帯の電力をまかなえます。すでにドイツ国内では電力の6~7%が風力です。それを考えると、風力発電はベースとなる電力になり得るでしょう」と説明する。
同社は現在、国内で丸紅や新日本製鉄などと組んで福島沖での洋上風力発電プロジェクトを進めている。NEDOも千葉県銚子市沖と福岡県北九州市沖で沖合洋上風力発電設備の建設を進めていて、最近はこの洋上風力発電が注目されている。
ただ、問題も少なくない。洋上のため、漁業関係者らとの調整があるのはもちろん、日本近海の場合、欧州のように遠浅ではないので、海底に基礎を据えて風車を建てる「着定式」では建てられない。そのため、「浮体式と呼ばれる風車を浮かせて建てる手法を開発中」(三菱重工)という。
風力発電が高いポテンシャルを秘めていることはわかるが、現実はなかなか厳しいようだ。