北京五輪の野球も「無気力試合だった」と強弁
誰が見ても明らかな誤審に対しては、抗議も当然だろう。だが、選手が「不正行為」で処罰されたにもかかわらず、強引に覆そうとする姿勢はいただけない。バドミントン女子ダブルスでは、韓国ペア2組が無気力試合を理由に失格処分を受けた。同じく失格となった中国ペアは非を認めて謝罪、チームも裁定に従った。しかし韓国側の対応は違った。国際バドミントン連盟(BWF)に抗議したのだ。
8月2日付の中央日報(日本語電子版)はその趣旨について、「中国はこれまで何度か無気力試合をしてきたが、BWFは黙認した」ことを挙げたと説明した。韓国メディアの中には、「先に中国が無気力プレーを仕掛けてきた」と自国の選手を擁護する論調もある。だが試合映像を見ると、韓国ペアもわざとサーブを外したり、シャトルを追わなかったりとベストを尽くしていない様子は明白だ。しかも次の試合で、別の韓国ペアがインドネシアペアとの試合で無気力プレーをしている。少なくともこの試合では中国は何の関係もなく、主張は説得力をもたない。結局、BWFは抗議を却下した。
さすがにこの韓国側の姿勢には、日本のインターネット掲示板でも「駄々をこねているだけ」「いいがかりだ」と呆れている様子が見てとれる。
ところが火の粉は、日本にも飛んできた。朝鮮日報(日本語電子版)は8月3日、「シドニーや北京でもあった無気力試合」と題した記事を掲載。2008年の北京五輪で行われた野球の予選ラウンド最終戦、日本は米国戦でチームの柱と期待されたダルビッシュ有投手(現テキサス・レンジャース)を2回で交代させ、打者も空振りを繰り返す「無気力試合」を演じたと指摘した。「負ければ決勝トーナメントで、優勝候補だったキューバとの対戦が避けられる」ための措置だったとしている。
だがダルビッシュ投手は、予選開始当初から調子が上がっていなかった。決勝トーナメントへ向けての調整登板と考えれば、短いイニングで降板しても不思議はない。打線はもともと貧打が悩みとなっていて、総得点は予選落ちした台湾やカナダと比べても1点多いだけだった。バドミントンのペアのように、どう見ても負けようとしている試合運びと比べるのは無理のように思える。