日本の飼料価格高騰の恐れ
影響は日本の食卓にも及び始めた。日本はトウモロコシの輸入の約9割、大豆は6割以上、小麦は5割超が米国産で「穀物相場の上昇は幅広い食料価格の押し上げ要因となる」(商社)。
日清オイリオグループとJ?オイルミルズは大豆が原料の食用油について、業務用1缶(16.5キロ)を200円、家庭用(1キロ)を10?12円引き上げた。スーパーなどの店頭価格にも影響しそうだ。
穀物が飼料価格に影響して食肉などの値上がりにもつながる恐れもある。全国農業協同組合連合会は7~9月期の飼料価格を1トン当たり900円値上げした。大手食肉会社は「飼料価格の高騰は値上がりの要因にはなる」と推移を見守っている状況だが、明治は、家庭用バター2商品の価格を、9月1日出荷分から3.7~4.1%値上げする。飼料上昇のあおりで生乳の卸売価格が4月分から上がり、コスト負担を吸収できなくなったとしている。小麦は、政府が製粉会社への売り渡し価格を10月の改定時に引き上げる公算が大きい。
2007~08年にかけての世界的な食料高騰時の再来になるのか。小麦はここ1、2カ月で約1.5倍に急騰しているとはいえ、1ブッシェル9ドル程度と、2008年につけた同13ドル台より相当低い。このため、食品メーカーが麺類やパン、菓子類など幅広い品目で一斉に値上げに動いた2008年当時のようなことはないとの見方が多い。
ただ、楽観は禁物だ。食品価格が上昇すれば、米連邦準備制度理事会(FRB)が景気減速に対して金融緩和の追加措置を取りにくくなる可能性がある。日本を含め他の先進国も同様に金融政策のかじ取りは難しさを増しそうだ。さらに、「穀物高騰で相対的に大きなダメージを受けやすい新興国や途上国の経済が減速して世界的な景気下押しリスクが強まる恐れもある」(エコノミスト)。世界経済の不確定要素がまた増えた。