マレーシアの格安航空会社(LCC)大手のエアアジアと全日空(ANA)が出資するエアアジア・ジャパンの初便が2012年8月1日7時、成田空港から福岡空港に向けて出発した。
国内を拠点とするLCC3社が出そろった形で、空の価格破壊が激化しそうだ。その一方、一度遅れや欠航が出ると影響が大きいなど、LCC特有の課題も見えつつある。
4580円(新千歳)、5180円(福岡)、6680円(那覇)
国内をベースにしたLCCとしては、12年3月に就航した関西空港が拠点のピーチ・アビエーション(ANA系)、成田に拠点を置き日本航空(JAL)や豪カンタスグループなどが出資するジェットスター・ジャパンに次いで、エアアジアは3社目。最後発だとも言える存在だが、エアアジア・ジャパンの岩片和行社長は、
「快適性、安全性に加えて、アジアが持っている成長性や若々しさを取り込んでいきたい。安全とローコストは両立する」
と意気込んだ。また、記念式典は初便が定刻で出発した後に開催されたこともあって、
「初日ということで、少しでも遅延を防いで1日を終えることを最大の目的にしている」
と気を引き締めていた。
8月1日にエアアジアが開設した路線は、成田と新千歳、福岡を結ぶ2路線。8月3日には成田と那覇を結ぶ路線も開設されるが、3路線ともジェットスターと競合している。
LCCは、客室乗務員(CA)が清掃業務やゲート業務を行ったり、使用する飛行機の機種を絞ったりすることでコストを減らし、「レガシーキャリア」と呼ばれる従来の航空会社と比べて4~5割程度安い運賃を設定しているのが特徴だ。エアアジアは、この3路線の最低運賃をそれぞれ4580円(新千歳)、5180円(福岡)、6680円(那覇)とした。
7月3日に就航したジェットスターはエアアジアよりも先に運賃を発表していたが、5月30日のエアアジアの運賃発表を受けて、同日夕方にはそれぞれ4490円、5090円、6590円とエアアジアよりもわずかに安い水準に値下げしている。
なお、エアアジアは記念式典の中で、8月2日0時から8月5日23時59分にかけて、4000席を片道100円で売り出すことを発表している。