大阪府泉佐野市在住の定時制高校1年・川岸朋之さん(18)が2011年10月、貝塚市で自殺した問題で、中学校の元同級生らから借用書を書かされたり、窃盗を強要されたりという疑惑が浮上した。
インターネット上などでは「いじめではなく犯罪ではないか」という声も上がっている。大阪府警と貝塚署は自殺から約9か月後の12年7月末、ようやく重い腰を上げ、再捜査を開始した。
15万円借用書、ひったくりや窃盗強要も
川岸さんは11年10月、貝塚市内の商業施設跡地で首をつって死亡しているのが発見された。携帯電話には「自殺の動機がこれって大分情けないな。16日までに38000円は無理や。仕事もしてないのに。払えたとしても、なんやかんや話だしてきて取られるのが目に見えてる。悪魔や」「生きるのがほんまに疲れました。でももっと生きたかったし。もっとみんなと遊びたかったし。もっと楽しい事したかった。死にたくない。死ぬのは怖い」など、金銭を要求していたと思われるメモや遺書のようなものが残されていた。この文書を見た家族は大阪府警貝塚署に捜査を要請していたが、11年末に証拠不十分として捜査を打ち切っていた。
しかし12年7月になって、川岸さんの父親が「息子がひったくりを強要されていた」と申告し、さらに友人がひったくり強要と「事情聴取の際、加害者の男子高校生から口止めされ、嘘をついていた」と証言。府警少年課と貝塚署が26日から再捜査を開始した。
また各紙報道によると、川岸さんが自殺する約10日前の11年10月15日、加害者とされる少年グループに15万円の借用書を書かされていた。加害者は10年7月に川岸さんに現金2万円を貸しており、この2万円プラス月1万円の利子を13か月分支払うという内容だった。さらに金を払わせるため、ひったくりを強要されていた、店のレジカウンターから金を盗まされていたと川岸さんの友人が証言しているという。
「大津いじめ問題大きくなり再捜査決めたのでは」
この事件について、「いじめで自殺した」などとされているが、報道の内容が事実とすると、高すぎる金利や窃盗の強要など、もはやいじめの範囲を超えていると思われる。
まず借用書の内容についてインターネット上では「出資法違反ではないか」という見方がある。出資法には「金銭の貸付けを行う者が、年109.5パーセントを超える割合による利息(債務の不履行について予定される賠償額を含む)の契約をしたときは、5年以下の懲役若しくは1000万円以下の罰金に処し、又はこれを併科する」と規定されており、借用書にあった月1万円の利子は違法となる。
ひったくりや金を盗むことの強要については、恐喝罪(10年以下の懲役)や脅迫罪(2年以下の懲役または30万円以下の罰金)、強要罪(3年以下の懲役)に問われる可能性がある。
遺族は捜査打ち切り後に何度も警察署を訪れて再捜査を求めてきたという。再捜査開始後には報道陣の取材に対し「以前から話しており、対応が遅すぎる」と話している。インターネット上では「大津市のいじめ自殺問題がここまで大きくならなければ再捜査もされなかったのでは」といぶかしむ声も上がっている。