マンU・香川と「日本人ライン」形成?
永井選手は福岡大学からJリーグ、J1の名古屋グランパスに入団、2011年にプロデビューした。だが木崎氏によると、福岡大在学中に、独ブンデスリーガのウォルフスブルクから練習参加のオファーが届いていたという。このチームには、日本代表の長谷部誠選手が所属している。当時から海外で一定の評価を受けていたようだ。
五輪の2試合での「快走」ぶりは、試合を観戦していたイングランドやドイツ、イタリアなど欧州プロリーグの担当者の目に強烈に映ったはずだ。各国の有力チームからは、獲得に向けた動きが出始めたと伝えるメディアもある。木崎氏は、50メートルを5秒8で駆け抜ける永井選手が瞬間的に加速する能力は「世界レベル」と太鼓判を押す。例えばフランス代表MFのフランク・リベリー選手もスピードが強みで、「200メートル走なら五輪代表になれるのではないか、とまで言われています」(木崎氏)。それでも今の永井選手なら、リベリー選手と競走したら負けないかもしれないというのだ。
現在プレーする名古屋グランパスとの契約条件の詳細が分からないので、五輪終了後すぐに永井選手の「海外電撃移籍」が実現するかは微妙だ。それでも仮に欧州へ新天地を求めるとしたら、どのリーグが最もフィットするだろうか。木崎氏はイングランド・プレミアリーグを推す。五輪がロンドンで行われているため同リーグに所属するチームへのアピール度が高まることもあるが、フィジカル面で高い能力が求められるリーグで、「たてへのスピード」を武器に活躍するチャンスがあるというのだ。2012年1月から同リーグのボルトンでプレーした宮市亮選手も走力がセールスポイントで、得点も挙げている。
日本代表は1次リーグ残り1試合を消化した後、金メダルを目指して決勝トーナメントを戦う。勝ち進めば永井選手の活躍機会が増え、五輪後には「多額の移籍金を負担してでも獲得したい」とプレミアリーグのチームが名乗りを上げないとも限らない。マンチェスター・ユナイテッドに移籍した香川真司選手との日本人対決、あるいはチームメートとして強力な攻撃ラインの形成といった「夢」も膨らむ。