「日本再生戦略」で再生できるか 20年度に100兆円の市場創出めざす

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国家戦略会議が司令塔の役割を果たせるか

   経済成長と財政健全化を両立するため、消費増税を柱とする税と社会保障の一体改革の着実な実施や、デフレ脱却に向け「日銀に強力な金融緩和を継続するよう期待する」ことも盛り込んだ。

   ただ、過去の戦略や計画もそうだったが、総花的になり、「聞こえのいいスローガンや数値目標ばかりが先に立ち、……政策手段の具体化をほぼ先送りしている」(日経7月12日付社説)など、総じて評判が悪い。しかも、基本的に各省庁の政策を寄せ集める「官庁積み上げ型」(朝日14日付社説)では、実行は覚束ない。

   ある成長期待産業の関係者は「過去の施策も、国の計画→自治体の計画…と下に降りてくるうちに薄まり、難百億円の予算がついても、いつのまにか、どこへともなく消えてしまうことの繰り返しだった」と冷ややかに指摘する。実際、菅内閣の新成長戦略は、各省庁が自ら分析した約370項目のうち「実施され、成果もあった」は1割止まりで、「実施されたが成果が出ていない」が6割に達する。甘いであろう「自己採点」でこうだから、ほとんど実をあげていないことになる。

   こうした体たらくを脱するには、「国家戦略会議が司令塔の役割を果たせるかどうかがカギとなる」(読売13日付社説)との指摘は、多くの識者、マスコミに、ほぼ共通する。

   だが、政治主導を掲げて高支持率を誇った小泉内閣の経済財政諮問会議でさえ、郵政民営化のほかは社会保障などの制度の抜本改革には取り組めなかった。まして、「官僚に完全に取り込まれている」(野党筋)と酷評される野田内閣のこと。小沢新党その他の分裂などで政権基盤が一段と揺らぐ中で、「多くを期待するのは難しい」(民主党議員秘書)との声が与党内からも聞こえるのが実情だ。

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