家電量販店、「再編」でも青息吐息? 薄型テレビ・ショック脱せず

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   家電量販店が苦しんでいる。その原因である薄型テレビは、毎回のように「五輪商戦」の主役を張るが、ロンドン五輪の開幕を3日後に控える2012年7月24日になってもかつての売れ行きは戻らない。

   2011年7月の地上デジタル放送への移行に伴う「特需」の反動があまりにも大きく、消費者はピクリとも動かない。

6月の売上高、大手が20~40%の大幅減

   2004年のアテネ五輪、08年の北京五輪では飛ぶように売れた薄型テレビの大不振に、どの家電量販店も売上げがさっぱり上がらない。

   調査会社のBCNによると、6月の薄型テレビの販売台数は前年に比べて80.6%減で、過去3年間で最も低い水準という。家電エコポイント制度の終了や、地上デジタル放送への移行に伴う特需の反動で、テレビの買い替え需要は急減し、復調の兆しは見えない。

   2012年7月13日に「ベスト電器」の買収を正式発表し、売上高2兆円超と勢いに乗る最大手のヤマダ電機でも、6月の売上高は前年同月比32.4%減だった(以下、全店ベース)。

   6月は薄型テレビをはじめ、ブルーレイレコーダーなどの映像関連が足を引っ張り、気候が涼しかったこともあって期待されたエアコンも売れ行きが鈍った。携帯電話は夏モデルの発売前の買い控えがあったほか、パソコンも伸び悩んだ。

   ヤマダ電機は5月の売上高も前年比23.8%減、4月も11.7%減と、振るわなかった。

   コジマの売上高は6月が前年に比べて、じつに43.0%減と大きく減らした。5月も32.0%減、4月は21.0%減と、「安さ日本一」でヤマダ電機やケーズデンキと激しく競り合い、1997年3月期には業界トップに立った姿は見られない。落ち込みも一番大きく、6月にはビックカメラグループの傘下に入った。

   そのビックカメラの6月の売上高は、28.6%減に踏みとどまった。5月は20.4%減で、4月は16.3%減だった。

   ケーズホールディングス(ケーズデンキ、HD)の6月の売上高は前年比34.2%減。同社も5月は20.2%減、4月は14.3%と、同社も毎月売上げを落としている。

   エディオンも同様に、6月の売上高が34.6%減。5月は23.8%減、4月が10.7%減と、減らした。

節電家電では薄型テレビの落ち込みはカバーできない

   最大手のヤマダ電機がベスト電器を、ビックカメラがコジマを買収したように、家電量販店では再編の動きが加速している。薄型テレビの販売不振でマーケット全体が縮小傾向にあるなか、「生き残りには販売力の強化、つまり店舗網を拡大してシェアを高めるしかない」(ある家電量販店)という。

   2012年の夏は、どの家電量販店でも節電意識の高まりで高機能扇風機やLEDシーリングライトの売れ行きが比較的好調に推移している。

   とはいえ、これらの商品で薄型テレビの落ち込みをカバーできるかといえば、そこまで爆発的に売れているわけではない。むしろ扇風機は、販売価格は前年に比べて微減にとどまるものの、販売台数では前年を下回っているといってよい。

   冷蔵庫や洗濯機といった白物家電が売れている家電量販店もないわけではないが、これらを売るにはそれこそ店舗網がモノを言うようだ。

   期待は売電が本格化してきた太陽光発電システムくらい。ヤマダ電機はすでに住宅メーカーを子会社化するなど、スマートハウス事業に参入。各量販店も販売に力を入れ始めている。

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