WSJ「いずれは移行、でも今は着手していない」
ニューズウィークは2010年、50年近くにわたって経営権を保有していた米ワシントンポスト紙が音響機器メーカー創業者のシドニー・ハーマン氏(故人)に売却。その金額が1ドルだったことで話題を集めた。同年11月にオンラインメディア「デイリービースト」と合併した。IACは、デイリービーストの運営会社だ。
米オンラインニュース「ハフィントンポスト」は7月25日、デイリービースト創業者で現在ニューズウィーク編集長を務めるティナ・ブラウン氏が、編集部員に回覧したとされるメモの内容を紹介。そこには「ディラー会長は、報道されたような『ニューズウィークは9月に(完全に)デジタル版となる』という話はしていない」と書かれていたという。IACの広報担当者も、「オンライン版のみの運営は、会長が単に『可能性』として検討しているだけで、(決算会見でのコメントは)メディア産業に起きている一般的な変化について述べたにすぎません」と話したそうだ。
先のWSJ「オールシングスD」は、ディラー会長の発言が「ちょっとした物議を呼んでいる」ため、話の全体像を紹介している。記者との質疑応答で会長は、「ニュースを扱う週刊誌の問題点は、その作り方にある……誰もが同じ問題に、長い間悩まされる」と指摘。続けて「変化は訪れるだろう」としたうえで、「何もかもがすっかり変わるわけではないが、印刷物からオンラインへの移行は実現するはずだ。我々はあらゆる選択肢を試しており、(今年の)9月か10月、いや来年にはプランを示せるかもしれない」と話したという。
これでは確かに、ニューズウィークの将来像について言及したか明確でなく、業界全般を指した話とも考えられる。「オールシングスD」の記者は、「ディラー会長は、いずれはニューズウィークのオンライン化を、と考えてはいるものの、現時点では何も手をつけていない」と見ているようだ。
朝日の報道は「勇み足」の可能性がいまのところ強い。