日本で企画・開発されたスマートフォン用の無料通話アプリ「LINE」が急成長し、サービス開始から約一年でユーザーが230カ国以上の5000万人になっている。
ライバルのSNS「フェイスブック」や「ツイッター」は発信する情報がオープンになっているが、「LINE」は電話番号を知っているもの同士が電話やメール、チャットで情報交換できるクローズドSNS。年内にユーザーは1億人、3年後には世界最大のSNS「フェイスブック」の9億人を抜くのだという。
世界230カ国5000万人がダウンロードした
運営しているのは韓国のインターネット事業最大手のNHNグループの日本法人NHNジャパン。NHNジャパンは2012年1月にネイバージャパンとライブドアが経営統合し誕生したが、11年6月23日からサービスを開始した「LINE」は、ネイバージャパンが独自で企画開発した。
市場に投入したきっかけの一つは、11年3月に起きた東日本大震災だったという。「ツイッター」やブログを使い震災の状況を伝えたり、安否を確認したりすることはできたが、ネットを使って特定の友人や家族と簡単に連絡を取れる手段が必要と考えた。
「LINE」は電話番号を知っているもの同士が無料で通話、メールやチャットができるアプリで、スマホの電話帳に登録し合っていることが条件になる。友人を「LINE」に招待し、「フェイスブック」などのSNSのように友達の輪を広げられるが、一番の違いは電話番号を登録し合っている人同士の「閉じたSNS」であるということ。不用意な発言をして外部の人から非難を浴びたり「炎上」したりすることはまずない。
ゲームや音楽配信とショッピングにも参入
サービスを開始してから7か月でアプリが累計1500万ダウンロード。12年3月には2000万ダウンロード。1か月に500万人以上のペースで増え続け、6月6日には登録ユーザー数が世界4000万人、国内は1800万人を突破。7月26日には世界5000万人、国内2350万人を突破した。
最も利用しているのは20代前半の女性で、国別では日本、韓国、台湾などのアジアが中心。ロシア周辺諸国でも利用者数が急増しており、今後は北米・中国市場にも本格的に打って出る。
また、今回のロンドン五輪でも「LINE」は使われていて、柔道女子日本代表とスタッフに7月22日、スマートフォンが配られ、通話やメールは「LINE」で行われるという報道も出た。
これから「LINE」は通話やメールなどに加え、ゲームや音楽の配信、クーポン、ショッピングなどができるプラットフォームビジネスも拡充させていく。
久々に飛び出した日本製のキラーコンテンツだが、NHNジャパンの森川亮社長は7月3日に都内で行われた記者会見で、3年後には「フェイスブック」のユーザー数9億人を抜きたいと語り、事業拡大の鍵となるのは「LINE」に求められているサービス分析と提供、ならびに
「メイド・イン・ジャパンならではの、きめ細かなサービスだろう」
などと答えていた。