財務省は、アジアや中東の新興国の貨幣(硬貨)製造の受注を目指し、2012年9月から順次、14か国へ職員を派遣して情報収集を進める。同省所管の独立行政法人造幣局(大阪市)の設備稼働の余力を有効活用し、技術の維持・向上を図る狙いがある。
「技術錬磨の場を確保したい」
財務省によると、訪問を予定しているのは、ミャンマーやベトナム、サウジアラビアなど。これらの国では現在、欧米諸国に貨幣製造を委託するなどしている。
外国貨幣の製造受注は過去(戦後)、数例の記念銀貨の実績があるだけだ。今回、「海外展開」を目指す背景には、電子マネーの普及などにより、国内の貨幣流通量が減少していることがある。製造設備は、従来から「有事」(偽造通貨の大量発生など)に備えて余力を持たせているが、その「余力」が広がっており、設備の有効活用が課題となっていた。
財務省関係者は「新しい製造技術を試す機会が行革の中で減っており、海外市場への展開でそうした技術錬磨の場を確保したいという問題意識もある」と話している。