仮設住宅の憂鬱 「ただ押し込めばいいという安易な作りのツケ」【岩手・釜石発】

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仮設暮らしの悩みを話し合う被災者たち=釜石市甲子の甲子第7仮設団地の談話室で
仮設暮らしの悩みを話し合う被災者たち
=釜石市甲子の甲子第7仮設団地の談話室で

(ゆいっこ花巻;増子義久)

   「弔問客が来てくれるのは嬉しいが、手狭の仮設では家に上がってもらうわけにもいかないし…」―お盆の時期を控え、仮設住宅に住む被災者たちの憂鬱(ゆううつ)が高まっている。19日、「ゆいっこお茶っこカー」が訪れた釜石市の甲子第7仮設団地でも話題はもっぱらこのこと。


   ご主人のお姉さんを震災で失った湊禮子さん(69)の仮設住宅は4畳半が2間。ご主人と二人暮らしだが、簡素な仏壇は今にも生活用品の山に押しつぶされそう。「家には来ないで直接、お墓へ行くようにお願いしている。仏さんにも弔問の人にも申し訳ない気持ちでいっぱい」と湊さん。20日でちょうど入居丸1年。冬の間は結露に悩まされた。「夜中に壁がキラキラ光っているのに気が付き、ハッと目覚めることも。凍りついた結露だった。布団を干すスペ-スも少ないので、梅雨の今はそれが悩みのタネ」


   仮設暮らしの長期化と復興住宅の建設のメドがつかない中で、被災者の精神的な疲れも増しつつある。「慣れるしかないと思っても限界がある。とにかく狭くて部屋の中は物置同然。雨漏りはするし、隣の話し声は筒抜け。寒冷地仕様を無視し、ただ押し込めばいいという安易な作りのツケが今になって噴き出した感じだ」。自治会長の磯田庫史さん(69)はそう怒りをあらわにした。


   釜石市内の中心部で喫茶店を経営していた奥さん(当時64)が犠牲になった。ファンシーケース(収納箱)の上にポツンと置かれた仮祭壇。「これじゃ、成仏できないと済まなく思う。でも、こんな物置みたいな部屋に仏壇をしつらえる気持ちにはなれない。お盆の時期、遠くにいる肉親や親族には内陸部のホテルを予約するよう頼んでいる」と磯田さん。


   夏休みと重なるお盆には被災者の元に子どもや孫たちなど親戚縁者がどっと集まってくる。普段なら先祖の供養をしながら、お互いの消息を話し合う場。だが、肝心の宿の確保ができない。ゆいっこ花巻では「仮設の悩みはどこも同じ。『とうわボランティアの家』(旧成島小学校=花巻市東和町)を是非、宿代わりに利用してほしい」と呼び掛けている。



ゆいっこ
ゆいっこネットワークは民間有志による復興支援団体です。被災地の方を受け入れる内陸部の後方支援グループとして、救援物資提供やボランティア団体のコーディネート、内陸避難者の方のフォロー、被災地でのボランティア活動、復興会議の支援など、行政を補完する役割を担っております。
ゆいっこは、「花巻」「盛岡」「北上」「横浜」「大槌」の各拠点が独立した団体として運営しておりますが、各拠点の連携はネットワークとして活用しております。
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