米軍岩国基地(山口県岩国市)への陸揚げが終わった海兵隊の垂直離着陸輸送機MV22オスプレイをめぐり、安全性の面から配備に反対する声が高まっている。与党内からも、「決められたプロセス通りに進めるのではなく、国民が大きな納得感を得られるように」(7月18日、前原誠司政調会長)とオスプレイ配備の再検討を求める声が上がっており、森本敏防衛相の「後ろから鉄砲を撃つ」形となっている。
そんな中、オスプレイ配備賛成の論陣を張っているのが、野党である自民党の中でも、防衛通で知られる石破茂元防衛相だ。その理由はどこにあるのか。
事故率では老朽化したCH-46の方が安全に見える
オスプレイをめぐっては過去に事故が頻発しており、開発段階を含めると36人が死亡している。このことから、「ウィドウメーカー」(未亡人製造器)という有り難くない名称までついてしまった。
「オスプレイが危ない」とされる根拠のひとつが、10万飛行時間当たりの「重大事故」の件数を表す「事故率」だ。海兵隊全体の事故率は2.45で、オスプレイの事故率は1.93、普天間飛行場に配備されているCH46ヘリコプターは1.11。一見、CH-46の方がオスプレイよりも安全に見える。
ただし、老朽化したCH-46は続々と退役しており、普天間飛行場に配備されていた機体についても2012年6月下旬から解体作業が始まっている。このため、「そもそも稼働率が下がっているため、事故率も低く見える。ベトナム戦争の頃は、今よりもはるかに高かった」という指摘がある。
石破氏も、7月23日に出演したTBS系「ひるおび!」で、この指摘に賛同した上で、
「オスプレイは今までのCH-46のスピード2倍、詰める量3倍、飛べる距離5~6倍と言われている。そうすると、これが入ってくることによって、どれだけこの地域の安全が保たれることか。このあたり(沖縄)は尖閣の問題もあった。北朝鮮の情勢も、どうなるか分からない」
と、オスプレイの必要性を強調。その上で、
「この地域の平和と安全を守るために、米国は命をかけてやっている。その点で、『今のCH-46の方が事故率が低いから、このまま使えばいい』という発想には、絶対にならない」
と言い切った。