イチロー「電撃移籍」は自ら志願 5年前から「ヤンキース」の話

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マリナーズは契約更新を望んでいた?

   実はヤンキースは、過去にも移籍先として名前があがったことがある。2007年7月、イチロー選手はマリナーズとの契約を5年間延長したが、当時報道陣に対して「心が動いた時期もありました」と心境を吐露した。同年11月24日付のサンケイスポーツのインタビューでは、自らの去就について「春先から迷っていた」としたうえで、仮にマリナーズを出た場合に「自分も他人も納得できるのはヤンキースしかないのかな、と考えたりもしました」と打ち明けた。

   移籍会見で「チームの希望はあったか」と問われたイチロー選手は、「あったが、ここでなくては、というものはなかった」と具体的な球団名は出さなかった。米シアトルタイムズ紙(電子版)によると、マリナーズのチャック・アームストロング球団社長も「イチローの承諾の下、数チームと交渉した」と認めている。ヤンキースは現在、ア・リーグ東地区首位を走り、順当にいけばプレーオフ進出は間違いない。戦力を見ても、イチロー選手のキャリアが突出していたマリナーズと比べて、投打ともにスター選手が顔を並べる。5年前に一度は「最終候補」として思い描き、まだ手にしていないワールドシリーズでのチャンピオンリングが十分狙えるヤンキースは、願ってもない移籍先と言えそうだ。

   一方でアームストロング球団社長は、イチロー選手との契約更新の可能性について昨シーズン終了後や今季開幕前のキャンプ、さらに5、6月の時点で打診していたが、イチロー選手側から「今シーズン終了後まで待ってほしい」との要望が出されていたと明かした。本人が決断したのは最近だが、マリナーズを去る選択肢は意外に早い段階から頭に浮かんでいたのかもしれない。

   「ヤンキース・イチロー」としてプレーした最初の試合は、くしくもシアトルでのマリナーズ戦となった。イチロー選手は「8番・右翼」で先発出場。打席に立つと「元」本拠地の観客からはスタンディングオベーションが起きる。ファンに向かってヘルメットを脱ぎ、深々とおじぎをしたイチロー選手はこの打席、いきなり中前打で出塁したうえ二盗にも成功。「イチローらしさ」を存分に発揮して、長年応援してくれた古巣のファンの声援にこたえた。

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