再選決まった加藤コミッショナー、調整失敗すれば辞任も?
ここで浮かび上がってくるのは日本の加藤良三コミッショナーの手腕。元米国大使で「野球ファン」を自認するのだが、球界における行政能力には疑問符がつく。
昨年(2011年)の東日本大震災に関連して開幕日の変更が問題になった。パ・リーグはいち早く「延期」を示したのに対し、セ・リーグは「予定通り」。コミッショナーはセを支持したのだが、ファンの声や選手会の要望、そして国から「何を考えているのか」としかられ、延期が決まった。「官僚出身なのに役立たず」と批判が出た。
今回の件は大慌てだった。「野球ファンの期待を裏切る行為」と選手会に責任を押しつける姿勢を見せた。見苦しいと感じたのか「選手会と話し合い、参加するよう説得する」と自ら乗り出さざるをえなくなった。
つい先日、加藤氏はコミッショナー再選が決定したばかりだが、実情はパ球団のほとんどが再選反対だった。「何もしない、できない」ことが知れ渡っているのである。米国寄りのお方だけに選手会との交渉は多難だ。WBC不参加が最終決定となれば、辞任に追い込まれる可能性もある。
(敬称略 スポーツジャーナリスト・菅谷 齊)