「分離」がどんな形態になるかは未定
カリフォルニア州が送電会社側に環境負荷の少ない電気を一定量割高で購入するよう義務づけるなど、電力価格の自由化が不十分だったことが原因との見解が専門家などから指摘されている。しかし実際に電力を使う企業や家庭などの顧客と接点を持つ送電部門と、発電部門が切り離されれば、電力を安定的に供給する義務は果たせないという電力会社側の主張がこの時点で一定の説得力を持ったのは事実で、経産省も自由化の旗を降ろさざるを得なかった。
しかし、福島第1原発事故以降、東電などの電力会社の経営体質に起因するとみられる問題が次々に起こり、枝野幸男経産相ら政府・与党幹部から電力業界に競争原理の導入を求める声が強まった。今回の専門委の結論もその延長にある。
ただし、実体として「分離」がどんな形態になるかは、まだ決まっていない。専門委の報告書は具体論を先送りし、秋から議論を再開する。送配電部門を既存電力会社の子会社として切り離す「法的分離」か、電力会社内に置いたまま、送配電の運用を中立機関に委ねる「機能分離」か。電力会社の業界団体である電気事業連合会は、同専門委の議論の過程で、「送電部門を担う機関が本当に中立な機関になるのかどうか」などの懸念を示している。経産省が法案の提出を目指す来年の通常国会に向けて攻防が再燃する見通しだ。