太陽光発電システムの導入を考える家庭が増えている。住宅の屋根に載せる太陽光発電パネルは、設備や工事費を含めると安くはない。新築であれば、最初から住宅価格に含まれている場合が少なくないので住宅ローンに組み込まれて返済していくことになるし、中古住宅に設置しようと思えば新たな出費になる。
そうした中で、システムの設置費用やつくった電力を「シェア」して、安く使う試みも始まっている。
各種補助金を使うと安あがりになる可能性も
太陽光発電システムの設置には、一定の条件を満たせば補助金を受けることができる。しかも、国や都道府県、市区町村からの各種補助金があるので、すべての補助金を使えれば、導入にかかる費用のかなりの部分を補助金でまかなうこともできる。
ただし、補助金は交付する自治体などによって条件が異なる。たとえば、太陽光発電普及拡大センターが交付する補助金には「kW単価55万円以下」という基準があるため、交付を受けるために多くのソーラー販売店がこの基準価格以下になるように提案することが多いという。
中古住宅に設置する場合は、さらに費用がかかる可能性がある。
レンタルソーラーを含め、住宅用から産業用までの太陽光発電システムを手がける長野県駒ヶ根市のネクストエナジー・アンド・リソースは、
「そもそも中古住宅の場合、屋根に太陽光パネルを載せる設計、強度になっていないことがあります。築年数も考慮する必要があるでしょう。(システムの)保証期間も含め、慎重に進める必要があります」
とアドバイスする。
そこで登場したのが「レンタル」だ。同社では、全量買い取り制度が始まったこともあって産業用(メガソーラー)への比重が高まっているが、それまではアウトドアでのイベントなど商業用のレンタルソーラーに取り組んでいた。
個人の住宅専用の比重は少ないが、「(レンタルは)離れや作業小屋での利用は少なくないです。また、自営業などで自宅を併用しているケースでは年次ごとに売電契約を結んでレンタルする場合があります」と話している。
収入の80%を設置会社に、20%を利用者に分配
太陽光発電ビジネスとはかけ離れた、デジタルコンテンツ配信やDVD販売などを行うDMM.comが導入した、独自の販売モデル「DMMソーラー」を使えば、利用者は8万円で初期投資が済む。
契約は、家・建物の所有者であることや発電量(日照量・屋根の形状)が同社の規定に達すること、国や都道府県、市区町村からの補助金制度が利用できること、などが条件。
DMMソーラーの場合は、住宅の屋根に設置したソーラー・パネルが発電した総電力量から、売電収入相当分をシェアする仕組み。具体的には、売電収入の80%を同社に、20%を利用者に分配する。契約期間である10年間と補助金で、同社がパネルの設置費用を回収。利用者は11年目以降、実質的に太陽光発電システムを所有できることになる。
ほかにもいろいろ「新顔」が出てきている。埼玉県のある電工業者は、近所の数軒をひとまとめにして太陽光発電システムを設置した。総発電量をシェアすることを提案して歩いている。メガソーラーとはいかないが、数軒が集まることで安くソーラー・パネルを設置できて、発電量も増やせると踏んでいる。