茨城県古河市在住の20代前半の男性が、生活保護支給停止の取り消しを求める訴訟を水戸地裁に起こした。
男性について、古河市は、生活保護を支給しながらも、「働ける状態にある」と判断するようになった。そして、就労へ向けた支援を続けてきた。
早く仕事を見つけて自立するよう、何度も指導
その間、男性が早く仕事を見つけて自立するよう、何度も指導してきた。ところが、男性が示す消極的な姿勢に改善が見られなかったといい、2010年9月末には、生活保護の支給を停止する措置に踏み切った。
これに対し、男性は、停止措置を不服として、12年6月4日になって市を相手取った訴訟を起こしている。市は、7月19日に水戸地裁であった第1回口頭弁論で、請求の棄却を求め、争う姿勢を示した。
男性の提訴がこの日一部で報じられると、ネット上では、疑問の声が相次いだ。「訴訟起こす元気があれば仕事できるだろw」「バイトもできない20代とか、どんだけだよwwww」「残り50年以上それでメシ食うのかよ?w」などとして、市を支持する声が多い。
20代前半と言えば、大学などを卒業し、社会人生活を張り切ってスタートさせる年代だ。男性は、一体どのような事情があって生活保護に固執しているのか。
20代では、母子家庭や障害などが多い
古河市の生活福祉課に取材すると、「係争中ですので、具体的なことは申し上げられません」と言う。男性からの提訴については、市議会の全員協議会で2012年7月18日に報告し、その後、概要のみを記者会見で話したとした。
男性に弁護士がついているのかどうか、また、そうだとすれば、なぜ訴訟費用を負担できるようになったのかも、分からなかった。
厚労省の保護課によると、2009年に行った最新の被保護者全国一斉調査で、20代の受給者は、全体の2.6%だった。その理由としては、母子家庭の母親で収入が少なかったり、障害や病気、けがを持っていて十分に働けないケースであったりすることが多かった。
働く能力があると見られた受給者には、生活保護法第27条の規定から、就労するよう口頭や文書で指導する。それでも指導に従わないときは、弁明の機会を設けたうえで、支給の停止や打ち切りを決める。停止の場合は、その後に就労状況が改善されれば支給が再開されるという。
訴訟費用については、生活保護受給者は、支払いが猶予される訴訟救助を利用できる可能性があるそうだ。