「あれだけ多くのエイが川に現れることは珍しい」
東海大学海洋生物学科の専任講師である堀江琢氏は、「アカエイである確証はない」としながらも、「(アカエイが)淡水域に入ってくることはありますし、タイなどではよくみられます。なぜかは不明ですが、餌になる貝類があったりすることは考えられます」と説明する。
地元の漁業関係者は「夏にかけて、産卵のために遡上する」とみているが、アカエイのメスは交尾後に体内で卵を孵化させ、浅海で5~10匹の稚魚を産む。河口付近で産卵する場合もあるが、堀江氏は「(夷隅川のエイは大きさが)40センチ程度ということは、ちょっと小さいですね。アカエイのメスは尾を除いても80センチ~1メートルほどにはなりますから、産卵のために遡上したとは考えられません」とみている。
それでも、「あれだけ多くのエイが川に現れることは珍しいといえます」と驚く。
いすみ市岬町の太東漁港のある、夷隅東部漁業協同組合太東支店も、「通常、エイは網にかかっても(漁業価値が高くないので)漁師さんがその場で(海に)帰してしまい、水揚げされることはありません。河口に近いとはいえ、ちょっと異常な感じがします」と話す。