本気で自殺させようとしていないと自殺教唆にならない
証言が事実であれば、加害生徒らが自殺教唆などの重罪に問われる可能性はあるだろうか。元東京地検検事の落合洋司弁護士に話を聞いた。
自殺教唆罪に問われるか否かについては、加害生徒らが「どこまで本気でやっていたか」が争点になるという。「自殺の練習」といっても、明確な殺意を持ってやっていた、本気で自殺させようとしていたという場合でなければ、直ちに自殺教唆罪にあたるとは言えないとのことだ。
その上で、被害生徒に無理矢理「自殺の練習」をさせていた場合、暴行罪(2年以下の懲役もしくは30万円以下の罰金または拘留もしくは科料)、脅迫罪(2年以下の懲役または30万円以下の罰金)、強要罪(3年以下の懲役)に問われる可能性はあるという。数人が共同して暴行、脅迫を行ったと認められれば、暴力行為等処罰に関する法律違反・共同暴行罪に問われ、3年以下の懲役または30万円以下の罰金と少し重い刑罰にもなる。
また、執拗ないじめと自殺の因果関係が刑事的に認められるのはかなりハードルが高いだろうとした上で、認められれば、加害生徒が遊びでやっていたと主張しても生徒を自殺まで追い込んだのは事実なので重過失致死罪に。見て見ぬふりをしていた教員は業務上過失致死罪(5年以下の懲役もしくは禁固または100万円以下の罰金)に問われることもありえるという。ただし加害生徒が当時14歳未満であれば責任能力がないと見なされ、これらの罰は科せられない。
民事訴訟ではこの証言をした生徒の陳述書、上申書など、ちゃんと証拠になるものが出せれば、原告に有利に働くだろうということだ。