映画ファンに親しまれていた映画館「銀座シネパトス」(東京中央区銀座)が2013年3月末に閉館することが明らかになった。銀座唯一の名画座として知られていただけに、ネットには閉館を惜しむ声が相次いでいる。
シネパトスは1967年、東銀座駅と銀座駅間にある三原橋地下街に「銀座名画座」「銀座地球座」としてオープンした。1988年に現在の「銀座シネパトス」に名称を変え、2009年から3スクリーンのうち1スクリーンを、邦画専門の名画座として運営してきた。
1950年代に完成した地下街
閉館は、三原橋地下街が耐久性の問題で取り壊されることになったため。同地下街は1950年代に完成した、日本でもかなり古い部類に入る地下街だ。銀座三越から歌舞伎座方向に向かって150メートルほどのところにある。晴海通りの脇にある階段を下ると、天井の低い地下街に小さな飲み屋や理髪店、そしてこのシネパトスなどが軒を連ね、華やかな銀座の表通りとは一線を画した、ここだけは昭和の薫りが今も濃厚に漂う「通好み」のゾーンとなっていた。
シネパトスを運営するヒューマックスシネマの担当者によると、何年か前から、取り壊しの話が出ていたという。
名画座とは、新作ではなく名作と呼ばれる過去の旧作を上映する映画館のこと。独自のテーマを設けて作品をセレクトする映画館もある。近年は3D映画など、デジタル機器を使っての上映が増え、昔ながらのフィルムで上映する名画座は次々と姿を消している。
「フィルムで上映すると、スクリーンの端に黒いポツポツが出来ます。デジタルの方が映像は綺麗ですが、フィルムの方が暖かくて味があるというお客様もいました」
とヒューマックス担当者は話しており、そのあたりが特異なロケーションと相俟って古くからの映画ファンをひきつけていたようだ。