関空と伊丹空港が経営統合 「新関西国際空港会社」、課題山積のテークオフ

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ターミナルビルの収益向上めざす

   このため、新関空会社の当面の最大の課題は、経営権売却に有利に働くよう、両空港の収益力を向上させることだ。経営戦略で掲げた数値目標を達成するため、同社は相次ぎさまざまな手を打つ。その一つが、来年夏をめどに予定している伊丹のターミナルビルの買収だ。ビルを運営するターミナル会社は大阪府市などの自治体が50%、民間が50%を出資するが、新関空会社は全株を買い取り、ビルを改修して集客力を上げ、売り上げ増につなげたい考えだ。

   また、国内でも本格化してきた格安航空会社(LCC)の誘致に力を入れるほか、国際貨物ハブ空港としての機能強化を図る方針で、関空での深夜・早朝の国際線貨物便の着陸料を半額に引き下げる制度もこの7月から導入した。

   しかし、収益拡大の方向性が明確になったとは言えない。急速に経済成長が進むアジアでは空港間競争が激化しており、韓国・仁川やシンガポール・チャンギなどは、着陸料を関空の3分の1程度に抑えている。国内では、羽田などの首都圏空港に比べ、関空が高収益につながるビジネス需要が小さいという問題もある。国内外の競争が一段と激しくなる中、目論見通りの需要を引き出せるかは不透明で、いっそうの工夫と努力が不可欠だ。

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