中2男子生徒の自殺を巡り、滋賀県大津市教委の教育委員が、市民の目で学校側の報告を十分にチェックしていなかったのでは、と批判が出ている。
「いじめとの因果関係は分からない」。沢村憲次教育長がこう繰り返すと、学校側の隠ぺいに加担しているのでは、といぶかられた。沢村教育長が教師出身で、しかも自殺生徒の学校で校長をしていたこともあるからだ。
教育委員長らはやっとコメント出す
本来なら、同じような疑問を持ち、学校側の姿勢をただすのが教育委員の務めだ。ところが、会見には沢村教育長だけが出て、岡田隆彦教育委員長らほかの4人は、意見すらも分からない状態だった。そして、2012年7月18日になってやっと、チェックが不十分なことへの「反省」などを示す公式コメントをそれぞれ出した。
これは、朝日新聞がこの日、自殺を巡る学校対応について、月1回の定例会で教育委員からの意見や質問がゼロだったと報じたことが大きいらしい。記事によると、11年12月15日の定例会では、自殺生徒の同級生が担任に「トイレでいじめてる」と伝えたことを学校側は「けんか」として処理したと沢村教育長が報告しても、ほかの教育委員からの反応はなくそのまま閉会していた。
実際は、個人情報を扱う関係上、会議後の非公開協議で話し合われたという。とはいえ、外部へのメッセージはこれまで皆無だったのも事実だ。
教育長以外の委員が出てこないのは、制度自体にも問題があるからのようだ。
教育委員会は、戦時下の軍国主義教育を繰り返さないよう求めるGHQの要請で、政治権力から独立した組織として1948年に誕生した。当初は、市民の目で教育現場を指導・監督するためとして公選制が採られたが、56年の法改正で、首長が任命するものになった。
ところが、教育委員は、次第に変質してしまった。