失速する中国経済、8%割れ 輸出から消費への転換カギ

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戦後日本の経済復興と同じ歩みたどる

   中国では大学生の卒業は7月。「昨年の就職難に加えて今年も就職できない学生がいるので、経済成長率が8%を割り込むと失業者が増え、社会不安が深刻化しかねない」(富士通総研の柯氏)という。それもあって、中国政府は8%台の維持に固執する。

   景気の減速を受けて、中国人民銀行(中央銀行)は7月、2か月連続で利下げに踏み切った。金融緩和の効果がある預金準備率の引き下げについても、11年12月から3回も実施した。

   たしかに2011年に20%も増えた輸出は、12年1~6月は9.2%増と鈍った。最大の貿易相手である欧州連合(EU)の債務危機が足を引っ張ったのも事実だろう。輸出の鈍化が中国内の生産活動に波及。中国投資家のマインドがネガティブになったこともマイナスだ。

   しかし、柯隆氏は「(景気減速をとめるには)内需拡大しかない」と言い切る。中国経済は、戦後日本の経済復興と似ている。日本も米ドルとの固定レートを武器に、輸出を拡大することで、年率10%もの高度経済成長を遂げてきた。それが変動相場になったことや、国民全体が豊かになったことで経済成長は鈍化した。

   中国のGDPに占める消費の割合は34%しかない。日本は約60%、インドでも約50%あり、まだ伸びる余地がある。「中国も2005年6月以降、人民元の切り上げに踏み切りました。今後、ますます人件費も上がります。しかし、それは同時に個人消費の伸びが期待できます。今後の経済成長は、輸出から消費への転換がカギです」と、柯隆氏は話す。

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