「無駄使い予算のオンパレードになる」
ところが、脱官僚を掲げた民主党政権が発足すると、脱官僚をあっさり引っ込め、郵政再国有化、政府系金融機関の復権、天下り実質容認という具合に、大きく方向転換した。その延長線上で、今回の日本再生戦略を考える必要がある。
もともと産業政策は究極の「えり好み」である。役所が恩典を与える産業が特定化される。そもそも役人が支援すべき成長産業を選別するというところに原理的な矛盾がある。ビジネスに疎い役人が成長産業を選べるはずがないからだ。
今回のように戦略分野が11にもなると、結局各省が戦略分野を持って、無駄使い予算のオンパレードになる。「日本再生戦略」というが、各省の予算獲得のためにツールにすぎない。これは恩恵をうける産業から支援される政治家、いわゆる「族議員」に対するうま味にもなる。要するに、それによって、特定産業、役人、族議員が既得権化するわけだ。