滋賀県大津市の市立中学校で2011年10月に男子生徒が自殺した問題で、市の教育委員会は12年7月10日、生徒に対するアンケート調査は1回でなく2回実施していたと発表した。2回目の調査には、「自殺の練習と言って首を絞める」「葬式ごっこ」という記載もあった。しかし、市教委は事実確認せず、「それに気が付かなかった」というおかしな弁明をした。
さらに越直美市長は市教委と対立する見解を明らかにしており、市教委を「信用できない」という見方は広がるばかりだ。
「事実の確認もその時点では行っておりません」
大津市教育委員会は7月10日夜に会見を開き、これまで公表していた11年10月実施のアンケートだけでなく、11月にも2回目のアンケート調査を実施していたことを明らかにした。そのアンケートで、いじめの具体的な内容について「自殺の練習と言って首を絞める」「葬式ごっこ」という記載があったが、市教委はそれに「気付かず」、「事実の確認もその時点では行っておりませんでした」と説明した。これほど重要な点を「気が付かなかった」ということは常識的に考えてありえない話だ。
市教委は7月6日に記載に気付き、9日から生徒に対する聞き取り調査を開始したが、記載した生徒は実際に「自殺の練習」や「葬式ごっこ」を見たわけではなかった。また、記載した生徒がいじめの内容について聞いたという生徒に確認したところ「そんなことは言っていない」と否定したため、「自殺の練習」「葬式ごっこ」について事実かどうかはわからないとしている。
記者から改めて自殺といじめの因果関係について問われると、「私どもの認識としては、いじめがありましたということは申し上げております。すでに何項目か公表させてもらっていますが、いじめはありました。自殺も当然、大変なことですが自殺がありました。いじめと自殺とは、まさにこのいじめによってこの自殺があったという、イコールで結ばれるような因果関係そのものが、そういう判断まではできません」と歯切れの悪い答えをした。