元東京大総長の仏文学者、蓮實重彦氏(76)がサクランボの広告に登場している。東大総長経験者がCMに出るのは極めて珍しい。山形県の農園で作られたサクランボの魅力に対し「抵抗できない」など賞賛の声を送っている。
蓮實氏は近代仏文学の第一人者として知られる一方で、映画評論家として「映画狂人」シリーズなど、数々の著作を執筆。後の映画評論に大きな影響を与えた。1997年から2001年まで東大総長を務め、現在は東大名誉教授となっている。
高級サクランボとともに蓮實氏の写真掲載
アカデミズムや評論の世界で広く知られている人物だが、そんな蓮實氏がサクランボの広告に登場している。
山形県中部、東村山郡山辺町にある「多田農園」のサイトに2012年春にアップされたもので、桐の箱に詰められた真っ赤な高級サクランボと蓮實氏の写真を掲載。蓮實氏が、2003年6月に山辺町を初めて訪れたときのことを文章で振り返っている。
蓮實氏は多田農園のサクランボに出会うまで、国産のサクランボに対して「ある種の『抵抗』」を感じていた。フランスなどでは、サクランボは季節になると市場に大量に積まれるほどポピュラーな果物だが、日本では「高級品」というのが気になっていたのだという。
しかし、多田農園でサクランボを口に入れた瞬間、印象が変わったといい、「その味、多田さんのサクランボは自然を相手に周到に準備されたまぎれもない『作品』だったからだ。以来、私は多田さんのサクランボの魅力に抵抗できない」としている。