日本ではお馴染みのペットボトル緑茶「お~いお茶」(伊藤園)が米国で人気という事態が起きている。シリコンバレーの世界的企業でも飲まれており、背景には健康志向の高まりや「クールジャパン」があるという。
「お~いお茶」は伊藤園から1989年に缶入りで発売。翌90年にはペットボトル入りのものが発売された。世界初のペットボトル入り緑茶ブランドとして知られている。
グーグルやフェイスブック社でも飲まれる
日本ではロングセラー商品としてすっかり定番となっているが、ここ最近米国でも人気になっているのだという。
2012年7月1日放送の情報番組「Mr,サンデー」(フジテレビ)では、米国で人気の日本の意外な製品を特集。その中で「お~いお茶」が紹介された。
それによると、米国のシリコンバレーの新興IT企業で人気なのだそうで、文書や写真などをネット上で管理できるウェブサービスを展開するエバーノート社では、500mlの「お~いお茶」を1日で200本消費する。社員数は約100人なので1人平均1日2本飲んでいる計算になる。同社のフィル・リービンCEOの話では、フェイスブック社やグーグル社などでも人気で、シリコンバレーの定番商品になっているのだそうだ。
米国のアマゾンでも同様だ。「お~いお茶」の500mlペットが2012年7月7日現在、食料品の「Tea(茶)」部門で6位に入っている。
米国には無糖の緑茶がない
レビューも50件以上寄せられていて、
「まろやかで繊細、そして爽やかな味がする。ノンカロリーで、ビタミンCを含むので健康だが、私は健康のために飲むのではない。とても美味しいから飲むのだ」
「私は海兵隊で日本に2年間いたのだが、どこの自動販売機にも『お~いお茶』があった。緑茶が好きな人にはお勧め」
「価格は少し高いけど、味やクオリティは米国で売られている他の緑茶よりも断然いいよ」
といった内容が多い。健康的で自然な緑茶の味が受けているようだ。
伊藤園広報によると、2007年から米国で「お~いお茶」の英語表記版を販売している。米国では近年肥満が問題化しており、ヘルシーな日本食や緑茶が注目されているのだが、米国で販売されている多くの緑茶が砂糖入りのため、無糖の「お~いお茶」が人気になっているのだという。
同社は01年に米国に子会社を設立。当初はアジア系の飲食店や富裕層地域の小売店などに米国向けブランドの緑茶や烏龍茶を販売していたが、現在は大手量販店にまで販路を拡大している。シリコンバレーの企業にもスタッフが営業に出向いた。伊藤園広報は
「『クールジャパン』という言葉がありますが、米国のトレンドに敏感な層の間で日本文化への興味が高まっています。トレンドに敏感な層が『お~いお茶』を気に入り、口コミでそれが広がっている」
米国の子会社は2010年に黒字化を達成した。現在も順調に推移しており「今後も2ケタ成長を続けたい」としている。
また、「お~いお茶」が米国で広く売られているのは日本人にとっても嬉しいようで、一般のブログの中には「お茶が甘いせいで海外だとミネラルウォーターばかり飲んでますが、お茶があるってのはとても嬉しい。これで困ることが1つ減った」と書くものもあった。