ある元漁師の死―― NGOスタッフにも心の疲れ【福島・いわき発】

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   被災者のための交流スペース「ぶらっと」に、真っ先にやってきた人が7月1日に亡くなったという。いわき駅前の「ラトブ」に「ぶらっと」がオープンしたのは昨年10月。開所式(=写真)に彼も出席していた。私より1歳年下、62歳だ。津波被害に遭った元漁師。「ぶらっと」は、今はイトーヨーカドー平店2階にある。常連としては唯一の男性だった。


   交流スペースを運営するNGOとかかわっているので、交流スペースのオープン前後から彼と知り合った。やがて情報紙を出すことになり、創刊準備号で利用者第一号の彼の声を伝えた。


   「薄磯にいた頃は、毎日防波堤に行けば仲間がいて、話し相手に事欠かなかったねえ。今は周りに知り合いもいないから、一日どう過ごせばよいかわからないんだ。この交流スペースが出来てスタッフが話し相手になってくれるから、これからも利用するよ。俺のように独りで暮らしている人がいたら、是非ここを利用して欲しいな」


   知りあって10カ月。いわき駅近くの借り上げ住宅(民間アパート)に入っていた。ときどき仲間と応急仮設住宅へ行ってボランティアもやっている、と聞いた。


   なぜ、急に彼岸へ行ってしまったのか。本人が自分の体の急変に気づいて救急車を呼んだ。病院へ運ばれた。でも、だめだったらしい。


   昨晩(7月4日)、NGOのスタッフが来宅し、飲んでいるうちに彼の死を語った。生きるための支援をしているのに救えなかった……。へこんでいた。やがて、豊間の大工から電話が入った。こちらもいろいろとあってへこんでいた。私もへこんだ。


   あれから1年余。被災者にも、地域の被災者を引っ張るリーダーやNGOスタッフにも、心の疲れがみえるようになった。これからだ、それぞれの心が大変なのは、きっと。

(タカじい)



タカじい
「出身は阿武隈高地、入身はいわき市」と思い定めているジャーナリスト。 ケツメイシの「ドライブ」と焼酎の「田苑」を愛し、江戸時代後期の俳諧研究と地ネギ(三春ネギ)のルーツ調べが趣味の団塊男です。週末には夏井川渓谷で家庭菜園と山菜・キノコ採りを楽しんでいます。
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