国際的な圧力が強まる
今回の年次会合で日本が直接、影響を受けたのは、2013年の日本のはえ縄漁業のメバチマグロの漁獲枠を2007年より5%少ない3万2372トンと、4年連続で前年枠を踏襲することが決まったことだ。メバチも刺身や寿司でおなじみだ。
ただし、日本は同海域で、はえ縄漁船約100隻がメバチを2010年に1万4633トン捕獲しているに過ぎず、漁獲枠には余裕がある。このため水産庁は「実質的に日本漁船への影響はない」と見ている。
世界的に資源が減少傾向にあるとされるカツオ・マグロ類は、「マグロ類地域漁業管理機関」(RFMO)が太平洋、大西洋、インド洋など海域ごとに五つの委員会を設け、資源保護に当たっていて、年内に大西洋など3海域の国際会議が開かれる。日本はマグロ類の養殖に取り組んでいるほか、国際会議では科学的な調査に基づいた資源管理を行うよう主張、議論をリードしている。
ただ、一方で、野生動植物の国際取引を規制するワシントン条約の会議では、大西洋・地中海産のクロマグロを絶滅危惧(きぐ)種として禁輸する案が提案されるなど、環境保護の観点からの国際的な圧力も強まる。日本はカツオ・マグロ類の漁獲量が2009年に47万トンと、世界の1割を占める最大の漁業国であり、最大の消費国となっているだけに、摩擦を招かない賢い対応が求められる。