沖縄県石垣市の尖閣諸島(中国名・釣魚島)の領有権を中国が主張しているが、中国のゲームメーカーが2012年6月21日、タブレット端末「アイパッド」(iPad)向けに「侵略者を殺戮する快感が味わえる」などとするゲームを発表していることがわかった。この「侵略者」は、日本人のことを指しており、波紋が広がりそうだ。
日本政府が「我々の釣魚島を占領しようと企んでいる」
ゲームのタイトルは「保衛釣魚島」(釣魚島を守ろう)。ソフトが配布されている「アイチューンズ」(iTunes)では、ゲームの内容が説明されているが、日本側の立場とは完全に相容れないものだ。説明文ではまず、
「釣魚島は中国の不可分な部分だが、最近日本政府が凶暴さを増しており、我々の釣魚島を占領しようと企んでいる。さらに甚だしいことに、釣魚島(周辺海域)で操業する同胞を逮捕したり、土地を売りに出したりしている」
と日本側を非難した上で、
「中国人として、我々は一致団結し、釣魚島を守ろう。我が国を完全防衛しよう。我々の釣魚島に上陸しようとする、『日本鬼子』を一人残らず消滅させよう」
と、日本人を打倒することをうたっている。なお、「日本鬼子」という単語は、中国語圏では、日本人に対して最大級の侮蔑を示す言葉として認識されている。
ゲームの内容は、プレーヤーが様々な技を繰り出して、日本兵を撃退するというもの。ステージは71あり、これは中国が独自に尖閣諸島周辺の71の島を命名したことにちなむ。ゲームの説明文では、
「様々な技を繰り出して、釣魚島に上陸しようとする『日本鬼子』を一人残らず消滅させよう!」
「さまざまな種類の『鬼子』が登場するので、侵略者を殺戮する快感を味わえる!」
と、強い言葉が目立つ。実際のプレイ画面でも、レーザー攻撃された日本兵がバラバラに飛び散り、首だけが残る様子も描かれており、日本側の反発は必至だ。
ゲーム自体の評価は賛否両論
このゲームは無料で提供されており、「深センZQゲーム社」が開発。同社は、過去にもいわゆる南京大虐殺をテーマにしたゲームを開発したこともあり、いわゆる「反日世論」を喚起する思惑があるものとみられる。
なお、現時点では、ゲームは日本版のアイチューンズからはインストールできない模様だ。
ゲーム自体の出来は賛否両論で、iTunesレビュー欄では、5点満点のうち、
「中国人なら、一緒に鬼子を殺そう」
とコメントして5点を付けた人もいれば、
「全然面白くない」
として1点をつけた人もいる。