欧州合同原子核研究所(CERN)は2012年7月4日、物の「質量の起源」とされる「ヒッグス粒子」と見られる新しい粒子を発見したことを発表した。東京大学など日本の研究機関も参加する「アトラス」と、欧米の「CMS」の2チームによる大型加速器を使った実験によるもので、新粒子である確率は99.9999%以上。今後さらに実験を続け、年内にも「ヒッグス粒子」であることを最終的に確認する。
ヒッグス粒子は英エディンバラ大のピーター・ヒッグス名誉教授が1964年に提唱した、宇宙空間すべてを満たしているとされる素粒子。物質がこの粒子の抵抗を受けることで「質量」が生じるといわれ、俗に「神の粒子」とも称される。半世紀にわたりその探索が続けられており、発見はノーベル物理学賞級の成果といわれる。今回の実験では巨大な実験装置を使い、「ビッグバン」直後の宇宙を再現、発生したヒッグス粒子が崩壊する様子を観測することでその存在を確認した。