東京電力が福島第1原発事故を受けて、福島刑務所(福島市)の受刑者にも賠償金を支払っていたことがわかった。
インターネット上では「福島県の住民なのだから当然賠償を受ける権利はある」という意見がある一方、「納得できない」「税金で養われているのに賠償って…」など反発の声も上がっており、賛否両論が入り混じっている。
「賠償情報」口コミで受刑者内に広まる?
東京電力広報部によると、福島刑務所の一部の受刑者が住民賠償の情報を知り、郵送でされた請求の手続きについて対応したという。情報をどのように入手したのか、請求人数は把握していないとのことだ。
ただ、2012年7月4日付の産経新聞は、口コミで情報を知った80人余りの受刑者が請求したと報じている。
東電は住民賠償について、受刑者への周知は行っていない。これは刑務所側が、受刑者の名前などの情報を提供することがプライバシー保護の観点から問題があるなどとして拒否したためだ。しかし、今後も受刑者からの問い合わせがあれば、個別に説明するとしている。
住民賠償とは被ばくへの恐怖や行動の自由が制限されたことによって生じた「精神的苦痛」などに対する賠償金で、東日本大震災が起きた2011年3月11日時点で福島県内23市町村に住んでいた人が対象だ。請求が認められると、自主避難かどうかにかかわらず一律8万円が支払われる。