楽天傘下のカナダの電子書籍販売会社「コボ」は2012年7月2日、国内で電子書籍サービスを7月19日に始めると発表した。電子ブックリーダー「kobo Touch(コボ・タッチ)」を国内市場にも投入し、7980円という異例の低価格で売り出す。
家電量販店や書店で販売、7月2日夕方には特設サイトで予約の受付も始まった。アマゾンも電子ブックリーダー「キンドル」を近日中に国内販売する予定で、競争が激化しそうだ。
日本語タイトル数150万を目指す
端末は重さ185グラム、厚さ1センチで、最大1000冊分のデータをダウンロードできる。コンテンツのフォーマットには、世界標準だとされる「EPUB3.0」を、ディスプレイにはEインク社の電子ペーパー「パールディスプレイ」をそれぞれ採用した。スマートフォンやタブレット型端末とは異なり、1回充電すると1か月間使えるのが特徴だ。
コボは、楽天が12年1月に約240億円を投じて買収。すでに190カ国の900万人が利用し、日本語以外の言語を含めて240万冊を提供している。
楽天の三木谷浩史会長兼社長によると、現時点では3万冊提供されている日本語の書籍数を、将来的には150万冊にまで引き上げたい考えで、
「比較的実現性の高い数字」
と自信を見せた。
三木谷氏「ほぼすべての出版社さんが協力的」
具体的なラインナップについては、
「有名タイトル以上に、独占先行(配信)のタイトルが出てくる。ここは『乞うご期待』ということで勘弁していただきたい」
と言及を避けたが、
「ほぼすべての出版社さんが協力的。契約手続きやフォーマット変換の問題で、(提供開始が)多少時期がずれる出版社もある」
と、ラインナップの幅が今後大きく広がることを強調した。
配信する書籍の価格や、価格設定の主導権を楽天の出版社のどちらが握るかについては、
「出版社との守秘義務契約があり、申し上げられない」
と述べたほか、
「出版社や作家と対峙するのではなく、win-winな関係をつくりたい」
と、出版社に配慮するような発言も散見された。
端末の価格設定については、
「端末自体で大幅な利益をあげることではなく、まずはマーケットを拡大したい」
と説明。近日中にアマゾンが発売を予定している電子書籍リーダー「キンドル」については、
「気にしても仕方ない」
などと述べるにとどまった。