国際ハッカー集団「アノニマス」が東京・渋谷でオフ会を開催する。これまで世界各国の政府や企業サイトにハッキング攻撃を仕掛けてきたことで知られるアノニマスだが、今回のオフ会では街の掃除を行うという。
アノニマスが設置した今回の「オフ会」のwikiページによると、決行日時は2012年7月7日10時。題して「Anonymous Cleaning Service」だ。
「本作戦では、クリックの代わりにクリーニングを行う」
アノニマスは6月下旬、日本の「違法ダウンロード罰則化」法案に反対して、民主党のほか財務省やジャスラックのサイトを攻撃。サーバーダウンさせるなどして騒動になった。
今回のオフ会も法案反対活動の一貫として行う。Wikiトップでは、「私たちは、より生産的で建設的な解決方法が望ましいと考えている。アノニマスは、『サイバーテロリスト』ではないのだ」と説明。街の清掃活動を通して、法案反対を主張し、合法的に法案の問題点を広めていく。「我々はアノニマス。本作戦では、クリックの代わりにクリーニングを行う。期待せよ」とし、「あなたの街をクリーンに!アノニマス・クリーニングサービス」と書いたチラシまで掲載している。
法案に反対なら誰でも参加できるが、いくつかルールがある。まず、アノニマスの特徴にもなっている仮面を装着して集まり、装着したまま解散すること。仮面はアマゾンで購入できるほか、wikiにアップされている型紙をプリントアウトして自作することもできる。
ほかには「黒いスーツ、もしくは黒服でくること。背筋を伸ばし、紳士的な態度で」「絶対に法律を侵害しないこと」「インタビューなど、たとえどんなことがあろうとも絶対無言。Anonymous全体の意見だと誤解されるような発言はやめよう」などが注意事項として挙げられている。
日本にもアノニマスの協力者数十人?
まだ仮段階で後日正式に決定するとしているが、周囲の人に迷惑をかけず、穏やかに主張を広めていくというのがポイントのようだ。デモではなく「単なるOFF会」とし、国旗やプラカードの持ち込みも禁止している。
ITジャーナリストの井上トシユキ氏は、「ここ最近のネット関係の話では一番面白い」と語る。2002年、フジテレビのFIFAワールドカップでの「偏向報道」に抗議するため、2ちゃんねる住民がフジの「27時間テレビ」の企画「夏の湘南1万人のごみ拾い」の先回りをして、湘南海岸のゴミを拾うオフ会を開催したことがあった。アノニマスのオフ会もそれと同様の「ノリ」を感じるという。
「権力の横暴に対して正面からヒステリックにデモ活動しても、『あいつらうるさいなぁ』となってしまうけど、掃除なら『少し話を聞いてみようかな』となるかも知れない。昔ながらのネットらしい気の利いた企画だと思う」
また、アノニマスは英語で「匿名(Anonymous)」を意味し、「インターネット空間における自由を守る」ことを理念としている。その正体については不明な点が多いが、井上氏は「全世界に1000人ぐらいいると言われている。日本にも、理念に共感したプログラマーなどの協力者が数十人いると考えられる」している。
今回のアノニマスのオフ会について、日本のネットでは、「アノニマスのお掃除オフいきてー」「日本は暑いよ 黒いスーツ着て熱射病で倒れないでね」「7月7日に渋谷でアノニマスが掃除するらしいから7月6日に集まって掃除しちまおうぜw」といった声が出ていた。